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 Dark Horse '76 

デイヴィッド・フォスター、ダニー・クーチ、ジム・ケルトナー、ポール・ストールワースの4人により結成されたバンド、アティテューズ。
フォスター、クーチ、ケルトナーの3人については改めて言うまでもないだろう。残る1人、ベースのストールワースは他のビッグネーム達と比べると断然知名度は劣るが、ファンク好きとしては4人中で最も興味深いキャリアを持つ。

スライ・ストーンが起こしたレーベル、ストーン・フラワー。活動期間は69~70年と短命に終わったが、同レーベルからスライ・プロデュースによるシングル「I'm Just Like You」をリリースした白黒混合ファンク・バンド、6ixのベーシストがこのストールワースだった。
結局6ixはこのシングル1枚のみで、ストーン・フラワー閉鎖とともにバンドは消滅(今ではこのシングル曲の他、未発表曲も含め、『I'm Just Like You : Sly's Stone Flower 1969-1970』『Listen To The Voices  Sly Stone In The Studio 1965-70』などのコンピレーションでこのバンドの全容を知ることができる)。

アティテューズはジョージ・ハリスンのレーベル、ダーク・ホースから2枚のアルバムをリリース。この1stアルバムは76年の作品だが、その前年にリリースされたボビー・ウォマック『I Don't Know What The World Is Coming To』にクーチを除く3人が揃って参加しているのも興味深い。ウォマックのアルバムのセッションで意気投合した3人が、クーチを加えて結成したバンドがアティテューズ、なのかもしれない。
また、同じく75年には鬼レア盤として知られるジェイド『In Pursuit』にも、やはりウォマックのアルバムで一緒だったウィリアム・D・スミスと一緒にストールワースは参加している。

本題に移ろう。
このアルバム、AOR黎明期の名盤として知られているようで、サバービアにも掲載されたことからフリー・ソウル方面でも人気の作品だが、アヴェレージ・ホワイト・バンドからもっとファンク度を薄くしたような感じで、(そんな人はいないかもしれないが)ファンクを期待して聴くと物足りなさを感じるだろう。ヴォーカルはストールワースとクーチの2人で分け合っているが、黒さやソウルフルさを求めるのはお門違いというもの。
しかし、演奏は流石に達者だし、何曲かあるファンキーな曲は軽いがしっかりグルーヴしているので、それなりには楽しめる内容だと思う。

アルバムの1曲目の「Ain't Love Enough」はトロピカルなムードも漂うメロウ・ミディアム。「Street Scene」はドラムスとベースのグルーヴにファンクネスが滲むミドル・チューン。
AORバラードの「You And I Are So In Love」、「Squank」はスリリングな演奏を繰り広げるファンキーなインスト・ナンバー。

柔らかなAORメロウの「Lend A Hand」、ややアーシーな味わいのミディアム・ナンバー「Chump Chance Romeo」、「First Ballad」は大仰なインスト曲で、こういうのは何がイイのかよく分からない。
「Honey Don't Leave L.A.」はウェスト・コーストの風に吹かれるアメリカン・ロック、ラストの「In The Flow Of Love」も少しトロピカルな匂いのするミドル。