shadow do
The Shadow Do / Gary Bartz
 Prestige '75 

70年代前半には自身のグループ、NTUトゥループを率いてドロドロのスピリチュアル・ジャズをやっていたゲイリー・バーツだが、70年代後半になると方針転換、ミゼル兄弟と組んで制作した本作『The Shadow Do』は75年のリリース。

ミゼル兄弟のプロダクションは、当然ながらスカイハイ印のメロウで爽快なジャズ・ファンク・サウンドで、NTUトゥループ時代のドロドロっぷりが嘘のよう。
ただし、他のスカイハイ作品とは異なるのがプレイヤー陣で、バーツが一時マイルス・デイヴィスのバンドに加わっていた時の同僚であるマイケル・ヘンダーソンに、おそらく在籍時期はバーツと重なっていないが、やはりマイルスのバンドにいたジェイムス・エムトゥーメイとレジー・ルーカス、NTUトゥループのメンバーとして『Follow, The Medicine Man』や『I've Known Rivers And Other Bodies』といった作品に参加していたハワード・キングやヒューバート・イーヴスといった面子が名を連ねている。
そのためか、同時期のスカイハイ作品、例えばドナルド・バード『Places And Spaces』辺りと比べると、ややスピリチュアルなトーンも感じられるような気もする。バーツの頼りなげなヴォーカルをサポートする男性コーラスも、いつものスカイハイのそれとはちょっと異なる趣き。

なお、Discogsで調べた限りではあるが、後のグループ、エムトゥーメイのメンバー=ジェイムス・エムトゥーメイ、レジー・ルーカス、ハワード・キング、ヒューバート・イーヴスの4人が揃ってレコーディングに参加した作品は、おそらく本作が初めてと思われる。もしかすると、本作での共演が後のグループ結成へと繋がったのかもしれない。

アルバム・オープナーの「Winding Roads」はシンセサイザーがスペイシーに広がるメロウ・ジャズ・ファンク/レア・グルーヴ・チューン。バーツのサックスが雄大に奏でられるジャジー・メロウ「Mother Nature」、美しいストリームを描くメロウ・グルーヴの「Love Tones」、何といってもア・トライブ・コールド・クエスト「Butter」でのサンプリングが印象的な「Gentle Smiles(Saxy)」は、ミスティックでスピリチュアルなムードを湛えた黄金のジャジー・メロウ・グルーヴ。

「Make Me Feel Better」はやや土臭いリズムのジャズ・ファンク。「Sea Gypsy」はこれぞスカイハイ・サウンドといった感じの爽快なメロウ・ジャズ・ダンサー。
スピリチュアルなジャズ・ファンクの「For My Baby」、ラストの「Incident」はドッシリしたリズムを刻むジャズ・ファンク・ナンバー。