fire it up
Fire It Up / Rick James
 Gordy '79 

1978年に『Come Get It!』でソロ・デビューしたリック・ジェイムスは、翌79年には2nd『Bustin' Out Of L Seven』、更に3rdアルバムとなる本作『Fire It Up』と、立て続けにアルバムをリリース。この勢いは81年の『Street Songs』を頂点に続いていくが、自身の作品以外にも、ストーン・シティ・バンド名義でのアルバム制作や、ティーナ・マリーの後見人としてデビューを後押しするなど、(途中『Garden Of Love』ではやや精彩を欠いたような感じもあるが)非常に精力的に活動してきた。

この『Fire It Up』は、当時のそんな昇り龍のごとき勢いに溢れた傑作で、熱いパンク・ファンクがメラメラと燃え盛っている。リックは作曲、アレンジ、プロデュースの他、ギターにキーボード、ドラムスなども演奏するマルチ・ミュージシャンぶりを発揮しているが、クレジットを改めて見て今更ながら気づいたのだが、(クレジット上では)ベースは演奏していない(もちろんベース以外の楽器についてもリック以外にストーン・シティ・バンドのメンバーもクレジットされている)。
これは『Bustin' Out Of L Seven』も同様なのだが、自身のメインの楽器の演奏を他のストーン・シティ・バンドのメンバーに任せていたこの頃のリックは、ライヴはもちろん作品制作においてもバンドとしての活動に拘っていたのではないかと思える。

アルバムの幕開けを飾るタイトル曲「Fire It Up」は、ストーン・シティ・バンドのタイトな演奏に乗って快調に飛ばしまくるパンク・ファンク。続く「Love Gun」はゴリゴリのベースとギターがグルーヴィーにウネりまくる、まるで全盛期のブーツィーズ・ラバー・バンド並みに超絶タイトなヘヴィー・ファンク。パンク・ファンク・ホーンズも大活躍するこのファンク2連発は相当にカッコいい。
「Lovin' You Is A Pleasure」も前曲までの勢いを持続、ティンバレスやホイッスルも入って賑やかに盛り上げるラテン味混じりのディスコ・ファンク・チューン。「Love In The Night」はリックらしく華やかに盛り上がるバラード。

「Come Into My Life」は後の「Give It To Me Baby」を思わせる骨太ベースが唸るハード・ドライヴィングなファンク・ナンバーで、これも超強力。リックの長い語りの導入部「Stormy Love」の後、ラストの「When Love Is Gone」はサックスが咽び泣く濡れたスロウ。