reflections
Reflections / Gil Scott-Heron
 Arista '81 

1974年の『Winter In America』から80年の『1980』まで、盟友ブライアン・ジャクソンとの双頭体制で7枚ものアルバムをリリースしてきたギル・スコット・ヘロン。しかし80年の『Real Eyes』ではブライアンとのコンビを解消し、フライング・ダッチマン時代以来のソロ名義の作品となるが、81年の本作『Reflections』はソロに戻っての2作目となる。

正直なところ、80年の2枚のアルバム、『1980』と『Real Eyes』は個人的にはあまり聴きどころが無く、印象に残らない作品なのだが、ブライアンに代わってギルのパートナーの座に収まったマルコム・セシルとの共同プロデュースや、後のアムネジア・エクスプレスを構成するメンバーを含む演奏陣なども前作同様ながら、この『Reflections』はグッと充実度を増した力作。

アルバム1曲目の「Storm Music」はレゲエを大胆に取り入れた曲。これより少し前にスティーヴィー・ワンダーも「Master Blaster」でレゲエに接近していたが、この「Storm Music」は「Master Blaster」ほどのキレは感じられない。

ビル・ウィザーズ「Grandma's Hands」のカバーは、イナタくフォーキーな原曲とはかなり印象の異なる、都会的なジャズ・ファンクでコレは秀逸。ジャジーなシャッフルの「Is That Jazz?」、「Morning Thoughts」もアーバン・ムードのジャジー・ナンバー。

マーヴィン・ゲイ「Inner City Blues」のカバーは、原曲にも通じるヒタヒタと忍び寄るようなクールさに痺れる。ゆったりしたグルーヴは心地よいが銃社会に警鐘を鳴らす歌詞が辛辣な「Gun」、ラストの「"B" Movie」はベースが脈々とウネるジャズ・ファンク・サウンドに乗って、時のレーガン政権を痛烈に批判する告発調のリーディングも強烈。