physical attraction
Physical Attraction / Keith Barrow
 Columbia '78 

シカゴ出身のソウル・シンガー、キース・バロウ。
70年代~80年代初めにかけて4枚のアルバムを残している人だが、自分が聴いたのはコロンビアからリーリースした2枚。すなわち77年の2nd『Keith Barrow』と78年の3rd『Physical Attraction』。

おそらくは元々はゴスペルを歌っていた人のようで、ジュウェルからリリースした73年の1stアルバムは収録曲のタイトルから察するにゴスペル作品と思われるが、2ndアルバムはボビー・イーライ・プロデュースのシグマ・スタジオ録音となるフィリー・ソウル・アルバムで、これもなかなかの好作。

続く本作『Physical Attraction』は、当時エンチャントメントを手掛けていたマイケル・ストークスのプロデュースで、フリー・ソウル方面でも人気のアーバンR&B作品になっている。
前作ではザラついた地声に滑らかなテナー/ファルセットまで交えて歌っていたキースだが、本作では地声は封印しほぼ全編ファルセットで歌っている。彼のファルセット・ヴォイスは、スウィートと言うよりもどこか中性的な妖艶さがあり、ストークスの提供する都会的でメロウなサウンドにうまく溶け込んでいる。

「If It's Love That You're Looking For」はロマンティックでエレガントなムードのアーバン・メロウ・ナンバー。「Turn Me Up」はストークスらしいファンク・ビートが快活に駆動するダンス・チューン。
「You Know You Want To Be Loved」はゆったりとしたミディアム・テンポが実に心地いいミッドナイト・ムードのシティ・ソウル。アルバム・タイトル曲「Physical Attraction」はクールに疾走するディスコ・チューン。

都会的でエレガントなダンス・ナンバーの「Joyful Music」、「Overnight Success」はジェントルでロマンティックな雰囲気に満たされるバラード。
「Gardens Of Love」もキースのヴォーカルの魅力が十分に生かされた、シルクのような手触りのメロウ・チューン。ラストの「Free To Be Me」は柔らかいヴォーカルとサウンドにトロける真夜中のソウル・ミュージック。