when i get back home
When I Get Back Home / Vernon Burch
 Columbia '77 

ワシントンDC生まれのシンガー/ソングライターのヴぁーノン・バーチ。
何でも一時期バーケイズにギタリストとして加入していたそうで、確かに手持ちの『Do You See What I See?』の再発CD(ボーナストラック含むジャケ違いのヤツ)には、リード・ギターとしてヴァーノンの名前がクレジットされている(が、Discogsによるとギターはバリー・ウィルキンスとなっている)。
この『Do You See What I See?』はスタックス傘下のヴォルト時代の1972年のアルバムだが、その前後のアルバム、71年の『Black Rock』はマイケル・トールズが、74年の『Cold Blooded』はロイド・スミスがリード・ギターを務めており、この頃のバーケイズはギタリストが入れ替わり立ち代わり変わっていたようで、バンドの過渡期だったと言えよう。

バーケイズの話が長くなってしまったが、ともあれヴァーノンはバーケイズを離れた後しばらくして、75年にユナイティッド・アーティスツから『I'll Be Your Sunshine』でソロ・アーティストとしてデビュー。77年にはコロンビアへ移籍し2ndアルバムとなる本作『When I Get Back Home』をリリース。
ソロ・アーティストとしてのヴァーノンは、スティーヴィー・ワンダーからの影響が大きいことは本作を聴けば明らか。メロディーや曲調、ヴォーカルのそこかしこにスティーヴィーの影を感じる。もちろん全曲自作/セルフ・プロデュースで、ギターの他にシンセサイザーも自身で演奏するなど、自作自演派のマルチ・アーティストとしての姿を打ち出してきている。

アルバムのオープニング・ナンバー「Sexasonic」は結構ヘヴィーなファンク・チューンで、ヴァーノンの弾くギターもなかなかにファンキーでカッコいいが、何となくスティーヴィーの「You Haven't Done Nithin'」っぽい印象もある。
「Mr. Sin」はスティーヴィー・マナー溢れる爽快グルーヴィーなメロウ・ソウルで、ラテン風味が効いているあたりもやはりスティーヴィー的。続く「Paradise」も極上のサマー・メロウ・グルーヴで、前曲ほどではないにせよ、やはりどこかスティーヴィー色が強い。
粘っこいリズムが糸を引くファンク「Good To Me」、アルバム・タイトル曲「When I Get Back Home」は明るい雰囲気のアップ・ナンバーで、このあたりのポップ・センスもスティーヴィー譲り。

「Leaving You Is Killing Me」は軽快なリズムがステップを踏むミディアム・テンポのナンバー。「To Make You Stay」は華やいだホーンが盛り上げる、これまたスティーヴィー・ライクなグルーヴィー・ソウルで、爽快なメロウネスと昂揚感に満ちた人気曲。
「Leave Your Spirit Behind」は重厚な雰囲気や節回しがスティーヴィーの「They Won't Go When I Go」なんかを思わせるバラード。「Bye, Bye, Baby」はブラジリアン・ソウル・ダンサーで、曲調といいサビのメロディー・ラインといい、もちろんヴォーカルもまんまスティーヴィーな曲。ラストの「Ghetto Penthouse」はカッコいいファンク・チューンで、元バーケイズというキャリアは伊達ではないことを知らしめる。