absolute funk
Absolute Funk
 Body & Soul '05 

フランスのレーベル、ボディ&ソウル編纂のレア・ファンク・コンピレーション『Absolute Funk』。
2000年代後半にこのシリーズで5枚リリースがあるが、どれもタフで埃っぽいファンクがたっぷり詰まっていて非常に聴き応えがある。このレーベルはDiscogsで調べた限りでは、この他にはファンク系のリリースはまったく無さそうなのも意外だが、シリーズのタイトルからも窺えるように絶対的な自信を持って編まれた優良ファンク・コンピだ。

シリーズ第1作目となる本作に収録されているのは、1969年から1973年までの音源、つまり一番ラフでタフでゴツく黒々としたファンクが量産された時代の、埃に埋もれたレアなシングル全20曲。
オープニング・ナンバーのサラ・シンプソン「I Kicked The Habit(Of Loving You)」は、スライ「Sing A Simple Song」風のリフを携えたファンキー・ソウル。
マイアミ・ファンク・クラシック「Cramp Your Style」で知られるオール・ザ・ピープル~彼の地を代表するファンク・バンドのひとつ、マイアミの両バンドでリード・ヴォーカルを務めたロバート・ムーアのファスト・ファンク「Everything's Gonna' Be All Right」は、リトル・ビーヴァーがアレンジとギターで参加。

テキサスのソウル・パトロール「Don't Knock The Cop」はJBスタイルのファンキー・ソウル。シスター・ファンク・クラシックのスパンキー・ウィルソン「You」、ニューヨークのランドロッド&テナンツ「Sagittarius」は同郷のパザント・ブラザーズにも通じるような猥雑なラテン味が混じるファンク。
シカゴのシンガー/ソングライター、ジェネラル・クルックの「Do It For Me」も抜群のノリのファンク・チューン。まさにストリートを踊りながら闊歩するようなワトソン&ザ・シャーロックス「Funky Walk」、曲頭のドラムの打ちっぷりに仰け反るサー・ガイ&ザ・ロッキング・キャヴァリエズ「Funky Virginia」、2パートからなるジジ「Daddy Love」は超絶グルーヴィーな演奏もドスの効いたヴォーカルも最高なシスター・ファンク。

凄まじく塩っ辛いディープなヴォーカルが強力なフィリップ・ブラザーズ「I Got Hurt」、レオン・ヘイウッドがプロデュースとアレンジを手がけたソウル・マシーン「Twitchie Feet」は、ズドンと打ちつけるドラムスにチープなオルガン、クセになるギター・リフのファンキー・チューン。
溌溂とした歌いっぷりも魅力の女性シンガーのロイス・コットン「Try It, You'll Like It」、重くのた打つドラムとベースが凶暴過ぎるゴスペル・ファンクのジョニー・モリセット with ジェネル・ホーキンス・セクステット「I'm Hungry」、アイズレー・ブラザーズ「It's Your Thing」タイプのリズムで跳ねるレナ・モネ「You Stay On My Mind」は後半に大きく盛り上がる。

ジョー&エヴリデイ・ピープル「Sleep Walk」は、ギター・カッティングとヴォーカル&コーラスがクールに駆けるファンキー・ソウルで、音の厚みが増しファンク度が上がるパート2の方がより好み。姉妹デュオのベティ&エンジェル「Honey Coated Loving」は螺旋状のベースラインがグルーヴィー。
ODウィリアムズ「I'm Moving On Out Of Your Life」は73年の録音だが、65~66年頃のJBを思わせるややオールド・スタイルのファンキー・ソウル。ラストは再登場のソウル・パトロールによる、先の「Don't Knock The Cop」と同系統のインスト・ファンク「Peter Pan」。