eclipse
Eclipse / Sun
 Air City '84 

1976年から1984年までの9年間に8枚ものアルバムをリリースしたオハイオのファンク・バンド、サン。大きなヒット曲もなくマイナーな存在ながらも、これだけの作品をリリースできたということは、当時はそれなりに人気はあったのかもしれない。

1stアルバム『Wanna Make Love』では7人でスタートしたバンドは、2nd『Sun-Power』時には最大10人の大所帯となるが、直後に6人もの大量離脱(うち一部はデイトンを結成)。その後も激しいメンバー・チェンジを繰り返す不安定なバンド運営ながらも常時9~10名ほどのメンバーを抱えていたが、最終作となる本作『Eclipse』ではリーダーのバイロン・バードと、81年の6作目『Force Of Nature』から加入したギタリストのアンソニー・トンプソンのたった2人だけになってしまった。

また、前7作はすべてキャピトルからのリリースだったが、本作は地元デイトンのドマイナー・レーベル、エア・シティからのリリースとなっている。このエア・シティは83~85年のごく短期間のみ存在したレーベルで、アルバムは本作とオハイオ・プレイヤーズ『Graduation』の2枚しかなく、その『Graduation』でもバイロンは制作に大きく関わっている。

本作ではバイロンが全曲の作曲(うち2曲はアンソニーとの共作)、プロデュース、ヴォーカルの他、キーボード、ベース、シンセサイザー、ギター、ドラムマシン、ヴォコーダー、それにサックスと、ほとんどすべての演奏を担っており、実質的にはバイロンのソロ・プロジェクト的な作品となっている。
ファンクのボトムが生ドラムからドラムマシンへと急激に取って代わられていった84年という時期において、この妖しくも黒光りするエレクトリック・ファンクがたっぷり詰まった本作も、ザップやキャメオ、ジェネラル・ケインなどといった数少ないマシンビート移植成功例のひとつとして挙げたい良作。

アルバムのオープニング・ナンバー「Legs(Bring The Wolf Out Of Me)」は、離着陸を繰り返す粘着質なエレクトリック・ビートが強力にバウンスする、Pファンクやザップを思わせるようなファンク・チューン。
足早に駆け抜けるソリッドなファンク・ナンバー「Turn The Music Up」、タイトルに反してまったくレゲエ要素などないエレクトロ・チューン「Reggae Man」、「True Love」はクールなエレクトリック・ファンク。

「Irresistable」はサイバーなヴォコーダーとインダストリアルなシンセ、細切れギター・カッティングのファンク・チューン。「Dance, Let's Shake It Tonight」もヘヴィーなドラムマシンのビートに絡むカッティングがザップっぽいミドル・テンポのファンク。
「Fallout, On The Dance Floor」もドラムマシンのビートとベースが超強力なファンク。ラストの「Heartbreak Hideaway」は本作中唯一のバラードで、拍子抜けするほどのスウィートさと切なさが意外にも何だか沁みる。