working on you
Working On You / Lamont Dozier
 Columbia '81 

モータウン~インヴィクタス/ホットワックスと、デトロイトに根を張り数多くの名曲を世に送り出してきた稀代の作曲家、ラモン・ドジャー。
しかしドジャー自身は歌い手としてのキャリアを求めたていたのか、ブライアン&エディのホランド兄弟とのソングライター/プロデューサー・チーム、H-D-Hを1973年頃には解消。ソロ1stアルバム『Out Here On My Own』は作曲もプロデュースもすべて腹心マッキンリー・ジャクソンに託し歌一本に専念。

だが翌年には自ら黒いバッハを名乗るアルバム『Black Bach』で早々に軌道修正。以降はシンガー・ソングライター的なスタンスで活動、自身のリーダー作をリリースする傍ら、ポップコーン・ワイリーやフリーダ・ペイン、マージ―・ジョセフといったシンガーに曲提供するなど、作曲家/プロデューサーとしても精力的に活動した。

70年代末にはやや活動が停滞していたようで、毎年のようにリリースしていたリーダー作も78年の『Bittersweet』以降は3年ほどストップ、Discogsによるとこの間は他者への楽曲提供も、それ以前と比べると明らかに減っている。
復活の兆しが見えるのは81年、この年ドジャーはフューチャー・フライトジンガラという2組の傑作アルバムをプロデュース。更に3年ぶりのリーダー作となる本作『Working On You』をコロンビアからリリース(またこの年にはもう1枚、M&Mから『Lamont』もリリースしている)。ドジャーがこの時期、アーティストとして再びの充実期を迎えていたことが分かる。

ジャケットからして(裏ジャケも)メロウで官能的なムードが漂う本作、その期待に違わぬ、メロウでモダンなダンサーからミディアム~スロウまで粒揃いの楽曲が収められた良作。
アルバムはモダンなダンス・ナンバーの「Cool Me Out」から軽快にスタート。濡れたメロウ・スロウ「Why(Ain't My Love Enough)」、「Nobody Told Me」は滑らかでクールなモダン・ソウル・ダンサー。
スウィートでエレガントなバラード「Too Little Too Long」、「Playing For Keeps」も気持ちいいミディアム・ダンス・ナンバー。

ポロポロと零れる鍵盤の滴が堪らなくメロウな「Interlude」に導かれて始まる「(You Got Me)Wired Up」は、極上のメロウ・ソウル・ダンサー。「Starting Over(We've Made The Necessary Changes)」もメロウでエレガントで都会的なミディアム・ソウルで素晴らしい。
アルバム・タイトル曲「Working On You」はマッタリとしたミディアム・スロウ曲。「Chained(To Your Love)」は意外やレゲエ調のリズムを導入、ラストの「You Made Me A Believer」は流麗なストリングスが風に舞うモダン・メロウ・ダンサーに蕩けそう。