bobby hutton
Piece Of The Action / Bobby Hutton
 ABC '73 

砂浜に数字の「1」のオブジェというジャケットが謎過ぎる本作は、デトロイトやシカゴで活動していたというソウル・シンガー、ボビー・ハットンの唯一のアルバム『Piece Of The Action』。
60年代から作曲家として活動するディー・アーヴィンが主にプロデュースした本作は、適度にポップさも湛えた70年代ノーザン・ソウルの良盤。デイヴィッド・T・ウォーカーやエド・グリーン、ポール・ハンフリー、ソニー・バークら名手たちによるバッキングを得て、ボビーが清々しく伸びやかなヴォーカルを聴かせる。

アルバムのオープニングを飾る「Lend A Hand」から、溌溂としたノーザン・ソウル・ナンバーが躍動する。続く「It's All Been Said Before」もソリッドなノーザン・ビートが駆けるグルーヴィー・ソウル。「Then I Found You」はメロウでジェントリーなミディアム・ナンバー。
ドラマティックに展開する「Until I See You Again」とポップでメロディアスなミディアム・ソウルの「Can't Get Enough Of Your Love」の2曲はテリー・キャリア(クレジットはT.Collierとなっているが)とラリー・ウェイドの作曲で、クラレンス・ジョンソンがプロデュースしている。

「I Love The Way You Make Me Feel」はジョニー・ブリストル・タイプのミドル・テンポのグルーヴィー・ソウル。ボビー・ブランドの名唱で知られ、グラハム・セントラル・ステーションもカバーした「Lead Me On」は深い哀愁滲む演歌ソウル。
「There Ain't No Man」はジミー・ルイス作のウォーキング・テンポのミディアムで、ジミー本人も翌年リリースのアルバム『Totally Involved』で歌っている。「Can't Stop Talking」もノーザン調のソウル・ナンバー、ラストの「A Part Of Me」は太いベースがグルーヴィーなミディアム。