beaver fever
Beaver Fever / Willie "Beaver" Hale
 Cat '80 

ベティ・ライト「Clean Up Woman」をはじめ、数々のマイアミ・ソウル名曲にて粋なギターを聴かせてくれたリトル・ビーヴァーことウィリー・へイル。自身のリーダー作も、ブルージーな1st『Joey』に始まり、ウェス・モンゴメリーへの憧憬を覗かせるジャジーな2nd『Black Rhapsody』、そして自身のスタイルを確立したマイアミ・ソウル名盤『Party Down』『When Was The Last Time』など、いずれも一聴の価値のある作品ばかり。
しかし76年の4作目以降は、しばらくリリースが途絶えている。Discogsで確認する限りでは、その間は他者のレコ―ディング・セッションへの参加も無い模様で、70年代後半は不遇を託っていたのかもしれない。そんな中、80年にようやくリリースされたのが自身5作目にして最終作となる本作『Beaver Fever』。

本作はそれまでの芸名から "リトル" を外し、ウィリー "ビーヴァー" へイルとしてリリース。ジャケットからもアダルトな男の色気みたいなものをアピールしようという意図が見て取れるように思うが、名前からリトルを外したのも同様の理由だろう。
内容の方で注目すべきは、1曲だけだがボビー・コールドウェルがプロデュースを手掛けていること(他は4曲がビーヴァー自身のプロデュース、残る1曲はスティーヴ・アレイモ)。アルバム全体的にややライトな感触と言うか、メロウなAOR寄りといった印象を受ける作品。

メロウなダンス・ナンバー「Thank You For My Life」からアルバムはスタート。「Don't Get Tired Of Me」は黄昏ムードのメランコリックなミディアム・ソウル。ボビー・コールドウェル・プロデュースの「I Feel Like Crying」は都会的でアダルトなAORで、ボビーが歌っても何ら違和感のないようなナンバー。

「Party Times」はタイトルまんまのファンキーなディスコ・ナンバー。「Groove-On」はメロウ・グルーヴィーに揺れるミディアム・ダンス・チューン。ラストのスティーヴ・アレイモ・プロデュース曲「katie Pearl」はややブルージーな味わいもあるバラード・ナンバー。