leon ware
Leon Ware
 United Artists '72 

60年代後半から作曲家として活動し、マイケル・ジャクソン「I Wanna Be Where You Are」やクインシー・ジョーンズ「If I Ever Lose This Heaven」、ミニー・リパートン「Inside My Love」、そしてマーヴィン・ゲイ『I Want You』など、ソングライター/プロデューサーとして名を馳せたレオン・ウェア。
それら裏方仕事と並行して歌手としても多くの作品を残しているが、その出発点となるのが72年リリースの1stアルバムとなる本作。

曲はもちろん全曲自作で、以降数多くの名曲を共作することになるアーサー "Tボーイ" ロスや、デラニー&ボニーのボニー・ブラムレットとの共作も含む。一聴地味で内省的なニュー・ソウル作品だが、(特にボニー・ブラムレット絡みの曲で)南部ソウル風情のスワンプ臭が漂うのも本作の特徴で、同時代のシンガー・ソングライター的な作品とも言える。
2ndアルバム『Musical Massage』以降に顕著な狂おしいまでに官能的で深い愁いを湛えたレオンの作風は、本作の時点ではまだ確立されていないが、流石に曲は良いし、レオンのヴォーカルも十分にソウルフル。地味ながら味わい深い作品となっていると思う。

アルバムの1曲目でシングルもリリースされた「The Spirit Never Dies」はTボーイと共作したメロウ・ナンバー。ボニー・ブラムレットとの共作曲「Able, Qualified And Ready」は土臭いスワンプなノリ。
美しくも愁いに満ちたメロディが琴線に触れるバラード「Why Be Alone」は内省の極み。メロディアスな「Mr. Evolution」はTボーイとの共作曲。「Nothing's Sweeter Than My Baby's Love」は後の作風へと繋がっていくような洗練されたメロウ・ソウル。

What's Your World」も内省的なムードの曲で、ボビー・ウォマックが『I Don't Know What's The World Is Coming To』でカバーしており、レオン自身もピアノで参加している。ふくよかな南部ソウルが薫る「I Know How It Feels」はボニー・ブラムレットとの共作曲。
It's Just A Natural Thing」はピアノとオルガン、クワイアを従えたゴスペル・ソウル。ラストの「Tamed To Be Wild」はやや実験的とも思えるような曲で、不思議な余韻を残してアルバムは終わる。