stylistics
The Stylistics
 Avco '71 

70年代を代表するソウル・ヴォーカル・グループのひとつ、スタイリスティックス。
多くのアルバムがある中で、彼らの代表作としてまず真っ先に名が挙げられるであろう作品が、この71年の1stアルバム。

彼らの最大の魅力は、何と言ってもリード・シンガーのラッセル・トンプキンズJr.のスウィートなファルセットとムードたっぷりのコーラス・ワーク。加えて、フィラデルフィアの名匠トム・ベルのプロデュースのもと、MSFBの精鋭たちによる素晴らしいバッキング。そして何より、トム・ベルとリンダ・クリードのペンによる素晴らしい楽曲の数々。4大名曲をはじめ、魔法のような楽曲が揃った本作は、まさに珠玉という言葉が相応しいスウィート・ソウル大名盤。

アルバムのオープニングを飾る「Stop, Look, Listen (To Your Heart)」から、甘く切なくやるせないムードに満たされて、身も心も狂おしくトロけてしまいそうな辛抱堪らん超絶名曲。「Point Of No Return」は歯切れのよいリズムが弾むミディアム・ナンバー。
そして、美しいメロディと歌声に胸を締めつけられる歴史的名曲の「Betcha By Golly, Wow」。数多くのカバーが存在するが、やはり個人的にはプリンスによるカバーがあまりにも素晴らしく、オリジナル以上に好き。「Country Living」はノーザン調の軽やかなミディアム。「You're A Big Girl Now」はややオールド・スタイルのR&Bナンバーだが、これも悪くない。

B面のトップは、ダイアナ・ロス&マーヴィン・ゲイのデュエットをはじめ、これも多くのカバーが存在するあまりにも有名な大名曲「You Are Everything」。伸びやかなトンプキンズのファルセットも爽快なスウィート・スロウで堪らない。
本作の4大名曲にうち最後に登場するのは「People Make The World Go Round」は、当時隆盛を誇ったニュー・ソウルへとアプローチした1曲で、曲後半はインストでジワジワと展開。この曲もマイケル・ジャクソンなど数多くカバーされた人気曲。
コーラスがリード・ヴォーカルを支える「Ebony Eyes」に、ムーディーなストリングスが豪奢な雰囲気を醸すラストの「If I Love You」まで、トータル30分にも満たない作品ながら、彼らのスウィートな世界にどっぶりと浸らせてくれる。