soulful christmas
A Soulful Christmas / James Brown
 King '68 

ジェイムス・ブラウンがリリースした3枚のクリスマス・アルバムのうちジャケットのJBサンタが最高過ぎる本作は68年のクリスマス前にリリースされた2枚目。
クリスマスとは無関係な曲も2曲入っているが、他9曲はクリスマス・ソング、それもスタンダードや有名曲のカバーではなく、全曲オリジナルのクリスマス・ソング(とは言ってもJBが書いた曲は無く、キング・レコードの作曲家バド・ホブグッドやナット・ジョーンズ、チャールズ・ボビッドなどの作だが)。
ファンキーからバラード、ジャジーなナンバーまで、当時の超絶タイトなJBのバンドによる演奏、そしてもちろんJBの素晴らしい歌唱がクリスマス気分を盛り上げてくれる。

タイトルからして最高なシャッフル調の「Santa Claus Go Straight To The Ghetto」からアルバムはスタート。ブルージーな「Santa Claus, Santa Claus」、「Believes Shall Enjoy (Non Believers Shall Suffer)」はヴィブラフォンが転がるインスト。
アルバム・タイトル曲「Soulful Christmas」はまさにこの頃のJBらしいファンキー・チューンでカッコいい。「Tit For Tat (Ain't No Taking Back)」も軽快なファンキー・ソウル、「Christmas Is Coming」はギターとヴィブラフォンがファンキーに絡むインスト。
ムーディーなバラードの「Let's Unite The Whole World At Christmas」、アルバムのラスト2曲「You Know It」「Santa Claus Gave Me A Brand New Start」はいずれもヴィブラフォンをポロポロ鳴らす楽し気なインスト。

そんなクリスマス・ムードを吹き飛ばすかのような「Say It Loud (I'm Black And I'm Proud)」は言わずと知れたJBを代表するプロテスト・ソング。同年にシングル・リリースされ、翌69年のアルバム『Say It Loud I’m Black And I'm Proud』に収録。トグロ巻くようなベースラインがグルーヴィーなインスト・ファンク「In The Middle」は、翌年のアルバム『The Popcorn』やマーヴァ・ホイットニー『It's My Thing』にも収録されている。
もちろんいずれも強力なファンク・チューンではあるが、本作の中にあってはやはり浮いてしまっている。特に強烈なメッセージが込められた前者は何故本作に入れたのか不可解ではある。JBがよくやる頭数揃えるための穴埋めであれば、もっとソレっぽい曲がいくらでもあったと思うのだが、敢えてこの曲を入れたのは何かJBに意図するところがあったのだろうと思う(ただ単に新曲を入れたかっただけなのかもしれないが)。